薬学5年生の実務実習の際に、「後悔した事」。
薬剤師となり、指導者目線となって「準備した方良い事」「知っておいた方が良い事」を紹介していきます。
有意義な実習が送れるようになるはずです。
こんな方におすすめ
- 学生の時に実務実習で後悔したことを知りたい
- 薬学実習で準備した方が良いものを知りたい
- 薬学実習のリアルな話を聞きたい
- 教育係の薬剤師はどんなことを考えているのか知りたい
学生の時に後悔した事8つ
ある程度OTCの勉強をしておけば良かった
まず、OTCの勉強をしておけば良かったです。
授業やOSCEのためのOTCの勉強は少なかったのではないでしょうか?
医療用医薬品はかなり勉強しますが、OTCによく使われる薬剤については、あまり学ぶ機会はありません。
実際に薬局に行くと、市販されている薬剤をお客さんに紹介するという事例が発生しますが(もちろん練習です)、市販薬をじっくり見る機会はアルバイトをしたり、自分で服用しているぐらいでないと説明に困るのが普通です。
丁寧な指導者じゃない限り、詳しくは教えてくれないため、簡単な本を買って読んでおいた方が良いです。
大きなドラッグストアは、大体社内研修が充実していますので、独自の教育プランがあります。例えばiPadにe-ラーニングが受けれる教材があるなど。
そのため、国家試験に合格してから本格的に勉強すれば間に合いますが、せっかく実習の時間があるので、実習を通して勉強しておく事がオススメです。
私が使っていた本は、OTCメディケーション虎の巻ですが古いので、最新のAmazonのランキングから良さそうなものを買っておくのがいいと思います。
ポイント
・OTC特有の服薬指導を事前に学習する事がオススメ
OSCEで学んだ服薬指導をより発展させれば良かった
次に、服薬指導は「慣れ」が大きいものですが、初めの一人目第一歩が人によれば難しいです。
やはり、OSCEでの練習と実際の患者さんとでは、全然違います。心のどこかで、「練習だから」と安心している部分があります。
そのため、本当の患者さんを前にすると、やっぱりすごく緊張すると思います。数回繰り返し「慣れ」を得るとかなり改善されるのですが、初めての時はどうしても引けめになる人が多いです。
初回で躓くと、2回目以降が「怖く」なるので1回目が大事です。
また、指導者側も「服薬指導してみる?」と尋ねる場合がほとんどだと思います。
「指導して」との命令口調では、あまり言わないです。
これは、指導者側の立場からのやさしさですが、それが学生の成長を止める事にもなります。
一定回数の服薬指導を行い、自信がつけば、それ以上の回数は必要ありませんが、成長には個人差があります。
そのため、服薬指導を始める時期は、早めの方が良いです。実習の期間は限られていますので、やっと服薬指導をやり始めたと思ってすぐに終了が来ては困ります。(まぁ薬局実習は長いと感じますが)
注意ポイント
・不安であれば、OSCEの延長として練習しておく
・実習期間は決まっているので、服薬指導のとりかかりは早めが望ましい
自己紹介を予め考えておきましょう
実習の最初は、 必ず自己紹介があります。大体名前と簡単な紹介になることが多いですが、具体的な目標を先に伝えておけば、指導薬剤師の先生も考慮してくれるし、やる気があることが伝わるので印象も良いです。
加えて、急に「自己紹介して」と言われて困る方もいると思うので、心の準備にもなります。
ポイント
・自己紹介の内容、目標は考えておくべき
休みの時のストレス解消方法を確立させておけば良かった
簡単にお伝えしますと、実習はかなりストレスがかかります。
実習先によりけりですが、中にはアルバイトのような扱いをされ、ただの労働者となり疲労が結構溜まります。
日頃バリバリとアルバイトをしている方は問題ないかもしれませんが、労働に慣れていないと結構しんどいです。
そのため、「疲労を解消する」「ストレスを解消する」方法を確立していないと、長期間に渡る実習は大変です。今のうちに、ストレス解消方法を考えておきましょう。
例えば、ゲームが好きだから今のうちにゲーム機を購入するなどもいいですし、金曜日か土曜日は、友達と飲みに行く機会を作るなどが良いと思います。
私の場合は、実習が始まる前に飲み会の約束をしていなかったので、ずっとゲームをしていました。
友達とは、地元が違ったので、直接会って飲みに行くことが難しかったです。
今はZoomやTeamsなどのweb会議が充実しているため、リモート飲み会も気軽に開けるかなと思います。
ストレスを貯めすぎてパンクしないように、不満が爆発して指導薬剤師とモメないようにしましょう。後述しますが、指導薬剤師とモメる事が、唯一実習が不合格になるパターンです。
ポイント
・休暇の過ごし方は考えておきましょう
・趣味を発展させる
・友達と定期的に話す予定を立てて置く
外れの病院・薬局があるので、期待しすぎないように
これは個人的に感じた事なので、人によれば贅沢な学生だと思うかもしれません。個人の判断となります。
実習に行く前は、色々な事を学ぼうと期待に胸を膨らませていると思います。しかし、実習先には「当たり」「はずれ」があります。
私の場合、病院実習はカリキュラムを考えてくれて、時間が空けば色々な事を教えて貰いました。たまに業務が忙しかったですが、恩返しとして頑張って働けます。
しかし、薬局はひどかったです。小さな個人の薬局で、1/3の期間は、薬局の掃除や品出し、もうほぼただのバイト要員です。その間、処方箋監査や指導もほとんど見られないままでした。
その後、調剤薬局業務の期間がありましたが、調剤補助をずっとやっていました。最後の4週間程は指導もさせてもらいましたが、それだけで、カリキュラムに沿った説明は一切なく、「処方箋は勝手に見ていいから学習しといて」というスタンスでした。パートで来ていた薬剤師の先生の方が良く教えてくれました。
挙句の果てに、大学から送られて来た評価項目を自分でパソコンに入力しました。「出来てなさそうなカリキュラムがあったら伝えて」と。
不満ばかり出てきますが、薬局の印象があまりにも悪く、私が病院薬剤師を目指した理由の大部分です。
ポイント
・期待しすぎると落差が凄い
パワーポイントを使っての発表方法を学んでおくべき
病院実習では、恐らく絶対すると思いますが、パワーポイントを使っての発表があります。
題材については、実習中に考えたらよいと思いますが、
・分かりやすい説明の方法…etc
結構テクニックがあります。
テクニックを知っていると知らないでは、同じ内容の発表でも印象が全く違いますので、一度本やネットで学ぶと良いです。
学びが無いと下のような事が起こります。
・文字と背景で、見にくい
・文字が多すぎて、どこを伝えたいのか分かりにくい
学生のスライドを見ると、やはり上に該当する事が多いです。せっかく頑張って作ったものが、分かってもらえないのは辛いです。
将来的にもプレゼンをする機会は多いと思いますので、学生の間に学んでおくと、卒論や就活、就職後もかなり有利になるのは間違いありません。これは言い切れます。私のオススメはこちらです。口コミも良いので一度ご覧ください。まぁもっと簡単な本で良いですが。
薬局は実習期間が長く感じる
実習期間である2.5か月は正直長すぎると感じていました。スケジュールがしっかりと組まれていれば、そこまでは感じないと思いますが、スケジュールもまともにない実習先では、ただただ働いているだけで、かなりしんどいです。
「お金もくれないのに、働いてばかり」という感じですね。そもそも2.5か月は長すぎるのではとずっと思っています。
病院2か月、薬局1.5か月で良いのではないかという個人的感想です。
短期集中で良いと思うし、学生・実習先側お互いだらだらと長いとしんどいと思います。希望者だけ延長可能みたいなのはどうでしょうか。
まあ偉い方や色々検討した結果の2.5か月なので、理由はあるのでしょう。
ポイント
・自己で目標を決めてこなしていく等対策は必要
授業の復習を軽くはしておくべき(禁忌などは人が亡くなる可能性あり)
実習が後半になっている場合(3期、4期とかですね)、勉強した事を忘れる事が多いです。そのため、実習前に軽くでいいので復習しておきましょう。
私の苦い思い出は、Dr.から糖尿病の患者さんに「どの薬を使ったら良いか」問われたことがありました。その他の病名は載っていたのですが、なんとなくで、ピオグリタゾンと答えてしまいました。しかし、病名の中に、心不全が入っており、禁忌に該当しました。
Drからすかさず、禁忌であると突っ込みが入りましたが、とんでもない事をしてしまったと、凄く反省しました。
学生の身分であることをいい事に、適当に回答してしまい、危うく患者さんを殺していたかもしれないと思うと、ゾッとしました。
机の上の勉強と実臨床との違いを痛感した出来事でした。
その後、意識を入れ替えて実習・国師に向けて勉強していきました。
これを読んでいる皆様は、こんな事は無いと思いますが、一例として読み流して下さい。
ポイント
・机の上の勉強と実臨床のギャップを感じる
教育係の薬剤師は受動的【学生が学びに貪欲でなければ、実習の効果は薄い】
ここからは薬剤師側の状況をお伝えしておきます。指導者側の心情や状況を聞いていただけた方が、不満を持ちにくく、空気も読める学生になれると思いますのでお願いします。
進んで指導薬剤師となっている人ばかりではない
実習先に、指導薬剤師の認定を受けている先生がメインで教えてくれると思いますが、説明をするのは、その先生だけではないことがほとんどです。
そのため、学生を指導する事は、業務+ボランティアと言う認識で指導しています。(正確に言うと、費用はいただいているのでボランティアではありませんが、薬剤師に直接入ってくる訳ではないので、費用については実感しておりません。贅沢ですいません)
そのため、学生が受け身であれば、そのままにされる可能性もあります。
出来るだけ、 自分で考え勉強したり、質問をしましょう。
真面目に勉強している学生には、丁寧には返してくれる先生ばかりなはずです。
ポイント
・主体的に実習に取り組む姿勢が必要
仕事の合間なので、業務に負荷がかかる
次に、普通の通常業務の合間を縫って、実習生に教えているということを分かって欲しいです。
実習先により、業務量は様々だと思いますが、忙しい事が多いです。
私が病棟薬剤師だった時の話をします。学生を連れて病棟業務をこなし、学生に患者さんの指導をして貰ったり、検査値のみかた等を教えますが、
学生が帰ったあと、結構遅くまで残って、行けていない患者の服薬指導や指導記録を書いています。
業務が後ろにシフトするイメージです。どうしても自由に動ける時間が少なくなるので、服薬指導の件数も少し落ちてしまいます。
こんな感じで、時間を作って実習を行っていることを分かっていただければ、私達も救われます。
ただ、 やる気がある学生はその分教えますので、ウェルカムです。
注意ポイント
・学生が帰った後、残業で仕事をしている事が多い
・背景を知った上で、実習を受けてくれると嬉しい
人なので感情がある
最後に、指導薬剤師も勿論人なので感情があります。
・講義をしていると、寝ている人がいる
・教えたことをすぐ忘れる
このような感じで、良い反応が返って来ないと、当然やる気も削がれます。最低限の事はするように心がけてください。
ここで、やる気があるように見せるテクニックを紹介しておきます。
テクニック一覧
ポイント
・質問が多い:質問してくれると、 話を聞いてくれてるのだなと分かります。また、説明に不足があった場合今後の参考になります。
・はっきりとしゃべる:返事は短くはっきりとの方が、こちらも元気が出ます。
・行動が早い:説明したことをすぐ実行してくれるとありがたいです。
実習でよくある疑問(Q&A)
実習の評価はどんな感じでされるのか?
実習はどのように評価しているかですが、あまり書けないのと、大学で多少違うと思うので、エッセンスだけ伝えます。
だいたい休まず継続して来てさえすれば合格ラインはまず超えます。寧ろ評価をしていて、「この力が少ない」、「やっていないなぁ」と感じるとそこを補うような説明や指導を行おうと考えます。
そのため、学生の皆さんは、のびのびと実習を受けて頂いたら良いと思います。
もちろん、評価を高くしたいのであれば、予習などをしっかりした方が良いです。
日報・週報はどれぐらいちゃんと書けば良いか?
日報や日誌はとりあえず毎日書けば良いと思います。アウトプットの場として活用することが一番良いです。
とりあえず、短くても良いので、提出忘れはせずに書いていくようにしましょう。
指導薬剤師は、そこまで見ません。とりあえず、しっかり提出出来てさえいれば、OKです。
たまに日報を全然書いてくれない学生もおり、催促をするのですがそれでも書いてくれない学生がいて、困る時があります。
この場合、減点対象になると思いますので気をつけてください。
ただ、大学側も評価しているかもしれませんので、正確な事はよく分かりません。
症例報告やレポートはどれぐらい書いたら良い?
症例報告やレポートについては、しっかりと書いた方が良いです。
背景を理解して、結果や考察をすることは勉強になります。日報にかける時間があれば、こちらに重きを置いた方が有意義です。
評価する側としても、症例報告やレポートについて詳細に書かれていると、「しっかり理解しているな」と思うし、薬学的観点から書かれたレポートとして評価が高いです。
お礼状は適当で良い?
お礼状をどれだけ書くかですが、その病院に就職したいなら、めちゃくちゃ凝った方がいいです。まぁお礼の気持ちがあれば、勝手に筆も走ります。
実は、結構お礼状は見られます。指導薬剤師だけでなく、担当した薬剤師みんなで見ると友達の薬剤師からも聞きました。
基本的には、具体例を出すと一番印象に残ります。エモいお礼状にしましょう。
・その時の感情を書く
・心境の変化があれば、正直に伝える
上を意識すれば、かなり印象的なお礼状になるでしょう。
ポイント
・それ以外であれば、1枚ぐらいでOK
・お礼状は結構見られます
よくあるトラブル事例(辛い、トラブル)
実習で辛かった事は、期待と現実のギャップが大きいと思います。事前に先輩から実習う先の環境を聞いておけば良いのですが、なかなか難しいでしょう。
一番大きなトラブルとして、指導薬剤師と実習生がもめることです。
実は、患者さんへの多少の失敗はクリティカルなトラブルにはまずなりません。薬剤師がフォローします、学生であることも考慮されます。真面目に実習を受けてさえいれば、全く問題ありません。
しかし、指導薬剤師ともめてしまうとお互い譲れなくなり、実習の継続が困難となります。ある4期の時に、再実習の学生がいました。大学の教員から話を聞くには、業務を手伝ってもらっていたが、その期間が長かったのか、不満を指導薬剤師にぶつけ、それがきっかけで険悪となり実習の継続が困難となったと聞きました。実際指導薬剤師も悪いと思いますが、それを認めるのも難しく再実習です。ちなみに、再実習は特に問題なく終わりました。
おそらく、不満について感情を含めず希望を伝えれば良かったと思うのですが、感情的になり過ぎてしまったのが原因だと思います。
ここで伝えたいのは、実習先に文句を言うな、ではなく「感情的にならない」事が重要とお伝えしたいです。
ポイント
・希望は伝えても良いです
実は費用が掛かっている事(知らない事が多い)
これは、学生時あまり知らなかったと思います。何となく費用は掛かっているんだろうなーって思うぐらいでしょう。
一応お金を払って実習を受けさせてもらっています。授業料として含まれており、大学側でやり取りをしています。お金を払っているので、質問はバンバンして、実のある実習にしましょう。
個人的には、学生にお金を持たせて指導薬剤師に渡した方が、お互いのためになると思いますが、額が額なので、難しいでしょうね。
実習は、どれくらい休んでもいいのか?
学生の時に、実習はどれくらい休んでいいのか気になったりしたと思います。結論から言うと、ずる休みでも大部分の期間を休まなければ問題ないでしょう。
実際に体調が悪く行けないこともありますし、1日・2日休んだだけで取り返しがつかないことはまずありません。
基本的には毎日行くことが前提ですか、仕事じゃないので休みについてどうこう言いません。長いこと休みが続くと、心配はしますが。(ずる休みを推奨する気はありません)
インフルエンザの予防接種はしといた方が良い?
最後に予防接種についてです。 B 型肝炎となどの予防接種は必須とはなっていると思いますが、インフルエンザの予防接種は何も言われてないと思います。しかし3期4期では、インフルエンザにかかった患者さんと接する可能性もゼロではありませんので、 是非予防接種は受けておきましょう。
その頃は、色々忙しかったりするので、猶更です。
以上です。
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③本、文房具の購入には「Prime Student」が絶対お得
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④最後に、国試直前のまとめ記事
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