医薬品

シムツーザ配合錠の特徴・処方制限について【1日1錠のHIV治療薬】

2019年6月18日、 シムツーザ配合錠 が製造販売承認を取得、7月26日より販売開始となりました。(14日処方制限ルールの対象外 )

現役病院薬剤師が、シムツーザ配合錠の副作用や相互作用について説明していきます。

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医薬品情報(基本項目)

販売名 シムツーザ®配合錠
名前の由来ラテン語の「Simitu」に由来し、「一緒に(together)」の意味をもつ
一般名ダルナビル エタノール付加物(洋名:Darunavir Ethanolate )
コビシスタット(洋名:Cobicistat )
エムトリシタビン(洋名:Emtricitabine)
テノホビル アラフェナミドフマル酸塩(洋名:Tenofovir Alafenamide Fumarate)
製造販売元ヤンセンファーマ株式会社
薬効分類抗ウイルス化学療法剤
効能・効果HIV-1感染症
用法・用量通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、1回1錠
1日1回 食事中又は食直後に経口投与
薬価1錠 4,751.00円 (2019年8月現在) 
シムツーザ配合錠の構造式
出典元:シムツーザ配合錠インタビューフォーム

シムツーザ配合錠は、承認されている2つの医薬品の合剤となります。

プレジコビックス配合錠(ダルナビル800mg+コビシスタット150mg):ヤンセンファーマ株式会社より
デシコビ配合錠LT/HT(エムトリシタビン200mg+テノホビル10㎎/25㎎):日本たばこ産業株式会社より

初回治療として選択すべき薬剤の組み合わせ

出典元:厚生労働行政推進調査事業費補助金(エイズ対策政策研究事業)HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班 抗HIV治療ガイドライン

シムツーザ配合錠の登場により、初回治療として勧められている中の1治療法を1日1錠で行うことが出来るようになりました。

役割
ダルナビル:プロテアーゼ阻害剤(PI)
コビシスタット:ブースターの役割[CYP3A阻害薬(CYP2D6阻害作用もあり)で、プロテアーゼ阻害薬の血中濃度を高める]
エムトリシタビン:非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)

テノホビル:非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI) 

HIV感染症とは?

今回は、HIVといい特別専門性の高い病気であり、網羅することが難しいため、厚生労働行政推進調査事業費補助金(エイズ対策政策研究事業)HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班の「HIV感染症ってどんな病気?」に詳しくまとめられているため、省略させていただきます。

シムツーザ配合錠の用法について【食事中 or 食直後の理由】

添付文書より、「1日1回1錠を食事中または食直後に経口投与する」と明記されています。

薬剤の食事の影響を示した血中濃度データを見てみましょう。

シムツーザ配合錠インタビューフォーム 食事の影響(外国人データ)より

ダルナビルの血漿中濃度は、食事を取る事で高い血中濃度が得られています。

シムツーザ配合錠インタビューフォーム 食事の影響(外国人データ)より

また、テノホビル アラフェナミドの方は、空腹時の投与が血中濃度が高い事が示されています。

以上より、空腹時の投与をしてしまうと、ダルナビル血中濃度が上がらず効果が期待できず、テノホビルの血中濃度が通常より上がってしまい。副作用の原因となることが予想されます。そのため、必ず用法通りに服用することが必要です。

用法について
・必ず食事中または食直後に服用しましょう
・食事による影響を受け、効果が低くなり、副作用の可能性が上がる

14日処方制限ルールの例外対応

通常、新薬は承認されてから1年間は14日以上は処方出来ない処方制限があります。

しかし、シムツーザ配合錠には、厚生労働省より保 医 発 0702 第 1 号(令 和 元 年 7 月 2 日)の通知が出されました。

2 掲示事項等告示の一部改正について
(1) 新医薬品(医薬品医療機器等法第 14 条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)については、掲示事項等告示第 10 第2号(1)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14 日分を限度とする。)が適用されるが、掲示事項等告示の改正によって、新たにシムツーザ配合錠が当該制限の例外とされた。

出典元:保 医 発 0702 第 1 号 使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について (2項目のみ抜粋)

本通知の「14日の処方制限ルールの例外処置」により、患者さんの来院回数が減り負担は軽減しますが、副作用の早期発見には注意する事が必要となります。

副作用

抗HIV薬の治療経験がないHIV-1感染患者を対象とした本剤の海外第Ⅲ相試験において、副作用(臨床検査値異常を含む)は362例中182例(50.3%)に認められた。主な副作用は、下痢71例(19.6%)、頭痛47例(13.0%)、発疹44例(12.2%)、悪心28例(7.7%)、疲労19例(5.2%)であった。(承認時)

プロテアーゼ阻害剤、薬物動態学的増強因子及びFTC/TDF配合錠との投与によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染患者を対象として本剤に切り替えた海外第Ⅲ相試験において、副作用(臨床検査値異常を含む)は763例中236例(30.9%)に認められた。主な副作用は、下痢60例(7.9%)、頭痛58例(7.6%)、腹痛41例(5.4%)、発疹28例(3.7%)、嘔吐22例(2.9%)であった。(承認時)

なお、重大な副作用として、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、肝機能障害、黄疸、急性膵炎、腎不全又は重
度の腎機能障害、乳酸アシドーシスが報告されている。

出典元:シムツーザ配合錠 添付文書

下痢・頭痛・発疹が大部分をしめていますが、TENや肝障害など重篤な副作用がでていますので、説明やモニタリングが必要です。

相互作用について【CYP3AとCYP2D6を阻害】

・ダルナビル
CYP3Aで代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白を阻害する。
・コビシスタット
CYP3A及びCYP2D6で代謝され、CYP3A及びCYP2D6を阻害し、またP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3を阻害する。
・テノホビル及びエムトリシタビン
糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される。
・テノホビル アラフェナミド
カテプシンA、CYP3A及びP糖蛋白の基質である。

出典元:シムツーザ配合錠 添付文書

シムツーザ配合錠は、CYP3A、CYP2D6を代表としてP糖タンパク等も阻害します。

あまりにも併用禁忌・併用注意薬が多いため、併用薬がある場合は、必ず添付文書インタビューフォームを確認してください。

まとめ

特徴まとめ
・プレジコビックス配合錠とデシコビ配合錠の合剤で、1日1錠でDRV/c+TAF/FTCの治療が可能
・新薬特有の14日処方制限のなし
・必ず食事中または食直後で服用
・CYP3A、CYP2D6の阻害作用あり(必ず併用薬を確認)

抗HIV薬の新しい合剤であるシムツーザ配合錠について説明しました。

HIVは多剤併用療法が必要な病気であり、コンプライアンスを維持することが難しく、患者の負担も大きい薬剤でした。

シムツーザ配合錠の登場によりコンプライアンスの向上が望めると思います。

便利にはなりましたが、変わらず副作用や併用薬には十分に注意する必要があることは皆さまも周知の上だと思います。

シムツーザ配合錠についての説明は以上となります。

上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。また、薬剤の使用については、必ず添付文書インタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。

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