医薬品

コララン錠(イバブラジン)の作用機序と特徴【HCNチャネル遮断薬】

2019年9月20日に製造販売承認の取得、2019年11月 19日発売となりました。

新たな作用機序であるコララン錠(イバブラジン塩酸塩)について、添付文書インタビューフォームを中心に、病院薬剤師目線から説明します。

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医薬品情報(基本項目)

販売名コララン錠2.5mg/5mg/7.5mg
名前の由来心拍数を減少させる薬剤をイメージ「COR(英語で心臓を意味するheart より)」+「LAN(フランス語で遅いを意味するlent より)
一般名イバブラジン塩酸塩 (洋名:Ivabradine Hydrochloride)
製造販売元小野薬品工業株式会社 (提携:レ ラボラトワール セルヴィエ)
薬効分類HCNチャネル遮断薬
効能・効果洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75 回/ 分以上の慢性心不全
(ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)
用法・用量成人に、1 回2.5mg を1 日2 回食後投与から開始。
忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、2 週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1 回投与量は2.5、5 又は7.5mg のいずれかとし、1 日2 回食後投与。(一部省略)
薬価薬価基準未収載 (2019年10月現在)

コララン錠(イバブラジン塩酸塩)の作用機序【新機序:HCN遮断薬】

イバブラジンは、HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル遮断薬である。洞結節の自動能形成(ペースメーカー)に寄与する電流は、If(過分極活性化陽イオン電流)と呼ばれ、主にHCN4 チャネルにより形成されるイバブラジンは、HCN4 チャネルを阻害することでIf を抑制し、拡張期脱分極相における活動電位の立ち上がり時間を遅延させ、その結果として心拍数を減少させる

出典元:インタビューフォーム

■用語

Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated(HCN;過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)

HCN阻害薬という新しい作用機序の薬剤です。

慢性心不全を含む多くの心疾患は、予後と心拍数との間に負の相関関係が認められていますので、心拍数を減少させることでイベントや予後に影響していきそうです。(逆に低心拍すぎるのも予後に悪影響です)

2) 洞結節に対する作用(in vitro)
① 活動電位に対する作用
ウサギ洞結節の活動電位に対して、イバブラジンは添加濃度に応じて拡張期脱分極速度を低下させた。また、イバブラジンは最大拡張期電位及び閾値膜電位には影響を及ぼさずに、周期長を延長させた

イバブラジンの作用機序

出典元:インタビューフォーム

他にも、薬理作用のデータがありましたが、直観的に分かりやすかったのでインタビューフォームより転載しています。

上図は、in bitroの結果ですが、ウサギでイバブラジンの作用を実験したところ、周機長の延長を示しています。

 Point!【イバブラジンの作用機序】

・心臓の洞結節による電流(ペースメーカー)は、主にHCN4チャネルで形成される

・イバブラジンは、HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル遮断薬

・ペースメーカーの電流が生じることをイバブラジンが遅くさせ、心拍数を減少させる

用法・用量

6.用法及び用量

通常、成人にはイバブラジンとして、1回2.5mgを1日2回食後経口投与から開始する。開始後は忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、必要に応じ、2週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1回投与量は2.5、5又は7.5mgのいずれかとし、いずれの投与量においても、1日2回食後経口投与とする。なお、患者の状態により適宜減量する。

出典元:添付文書

食後投与の理由

用法は食後投与と明記されています。IFより理由は2点ありました。

まず、国内第Ⅰ相試験で、食後投与の方が血漿中におけるコララン(イバブラジン)の濃度が上がったことが示されています 。

また、β遮断薬のカルベジロールの用法は食後投与となっており、想定される併用薬剤の用法と同様の用法の方が、服薬コンプライアンス上望まれるため、食後投与となっているようです。

参考に、空腹時投与と食後投与の血中濃度を見てみましょう。

(4) 食事・併用薬の影響
1) 食事の影響
日本人健康成人男性(各用量:9 例)にイバブラジン 2.5mg 又は 5mg を食後単回経口投与(標準食:カロリー約 600 kcal、脂質約 20%)したとき、イバブラジンの Cmax 及び AUC0-12は、空腹時単回経口投与と比較して、それぞれ 1.08~1.16 倍及び 1.28~1.34 倍であった。

イバブラジンの血中濃度

出典元:インタビューフォーム

日本人9例だけですが、食後投与の方が僅かにCmaxが高く、AUCは増えています。また、Tmaxが遅くなっていることが分かります。

これより用法は食後で統一した方が良さそうですね。

コララン錠が食後投与の理由

・食後投与の方がCmax,AUCが高い

・想定される併用薬に食後投与の薬剤が多い(例:カルベジロール)

用量の設定理由

IFの情報を自分なりに簡単にまとめますと、治験の段階で2.5㎎開始群と5㎎開始群どちらもプラセボ群と比較して有意が認められ5㎎群の方が光視症の副作用の発現率が高くなっていることより、有意差が認められる2.5㎎から開始と設定されているようです。

用法用量に関連する注意

目標とする安静時心拍数である50~60回/分や増量・減量の目安は国内第Ⅲ相試験と同様の設定となっています。

また、有害事象で休薬した場合の再開の際に、有害事象の発現が高かったことから、同量又は減量が必要です。

副作用

頻度の高い部分と重篤なものをピックアップしました。

 

徐脈(8.0%)徐脈に関連する症状(めまい、倦怠感、低血圧等)

光視症(2.8%):投与開始後3ヵ月以内にあらわれることが多い

霧視(0.4%)

房室ブロック(0.6%)
心房細動(0.3%)

心電図QT延長(0.2%)

心室性不整脈(0.1%未満)

心室性頻脈(0.2%)

心室性期外収縮(0.4%)

心室細動(頻度不明)及びトルサード・ド・ポアン(頻度不明)

■用語:光視症

視野の限られた領域で一過性にまぶしい光を感じたり、光輪現象、像の分離(ストロボ様又は万華鏡様作用)、有色光又は二重像が生じる症状

徐脈や目に関する副作用が多い印象です。光視症の副作用が生じると自動車運転禁止となります。初めから運転禁止の方が薬剤師的には指導がしやすいのが正直なところです。

また、心臓のペースメーカー部分に作用する薬剤のため、死に直結するような重篤な副作用も無視できません。

禁忌

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.2 不安定又は急性心不全患者[病態が悪化するおそれがある。]
2.3 心原性ショックの患者[循環動態が悪化するおそれがある。]
2.4 高度の低血圧患者(収縮期血圧が90mmHg未満又は拡張期血圧が50mmHg未満)[血圧が低下するおそれがある。]
2.5 洞不全症候群、洞房ブロック又は第三度房室ブロックのある患者(ペースメーカー使用患者を除く)[症状が悪化するおそれがある。]
2.6 重度の肝機能障害(Child-Pugh C)のある患者[9.3.1 参照]
2.7 次の薬剤を投与中の患者:リトナビル含有製剤、ジョサマイシン、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、コビシスタット含有製剤、インジナビル、ボリコナゾール、ネルフィナビル、サキナビル、テラプレビル[10.1 参照]
2.8 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
2.9 ベラパミル、ジルチアゼムを投与中の患者[10.1 参照]

出典元:添付文書

禁忌の中で、補足すること。

■2.4について

高度の低血圧患者は使用経験がなく、血圧が低下する可能性があるための設定です。恐らくDr.が処方することはないと思いますが、念のために投薬の前に確認するようにしましょう。

■2.6、2.7について

コララン錠は、CYP3A で代謝される薬剤のため、重度の肝機能障害患者は血中濃度が大きく上昇する可能性がある。

また、強いCYP3A 阻害作用を有するケトコナゾールとの薬物相互作用試験の成績から、ケトコナゾール併用前と比較して併用後ではCmaxが 3~4 倍、AUCが 7~8 倍上昇することが確認されているため、強いCYP3A阻害剤を投与中の患者は禁忌となっています。

■2.9について

ベラパミル及びジルチアゼムは中等度のCYP3A阻害作用に加えて、心拍数減少作用があります。併用することで、心拍数減少作用が相加的に増強される恐れがあります。過度の徐脈が引きおこされる可能性があるため設定されたようです。

相互作用【CYP3A4にて代謝】

■併用禁忌

①理由:CYP3Aによる本剤の代謝が強く阻害され、血中濃度が上昇する。

リトナビル含有製剤:ノービア
ジョサマイシン:ジョサマイシン
イトラコナゾール:イトリゾール
クラリスロマイシン:クラリシッド
コビシスタット含有製剤:スタリビルド
インジナビル:クリキシバン
ボリコナゾール:ブイフェンド
ネルフィナビル:ビラセプト
サキナビル:インビラーゼ
テラプレビル:テラビック

②理由:CYP3Aによる本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する。本剤の心拍数減少作用を相加的に増強する。

ベラパミル:ワソラン
ジルチアゼム:ヘルベッサー

■併用注意
たくさんあるので省略します。下のリンクから確認下さい。

まとめ

HCN阻害薬という新たな作用機序であるコララン錠(イバブラジン塩酸塩)について、個人的な観点からまとめさせていただきました。

コララン錠(イバブラジン塩酸塩)についての説明は以上となります。

上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書インタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。

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