2018年9月21日に承認となりました。
選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤であるベオーバ錠50mg(ビベグロン錠)について説明します。
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医薬品情報(基本項目)
販売名 | ベオーバ錠 |
名前の由来1) | Beta 3 agonist for the patient with Overactive bladder |
一般名 | ビベグロン(洋名:Vibegron) |
製造販売元 | 杏林製薬(株) |
薬効分類 | 選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤 |
効能・効果 | 過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁 |
用法・用量 | 1回50mg 1日1回食後 経口投与(成人) |
出典元:添付文書
過活動膀胱とはどんな病気?
過活動膀胱とは、
1.急に尿意をもよおして我慢出来なくなる。慌ててトイレに駆け込む、一旦尿意が気になり始めると我慢できなくなる(尿意切迫感)
2.トイレの頻度が多い(頻尿)、夜中トイレに何回も行く(夜間頻尿)、
3.急な尿意を感じる、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)
このような症状が現れる病気です。
ベオーバ錠の作用機序・効果発現時期【医療者向け】
膀胱平滑筋に存在するβ3 アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁を改善する。
1~2週間飲み続ける事で効果が表れてくるようです。
即効性はなく、医師が判断するまで継続してください。
臨床結果について【T301試験】
国内第Ⅲ相比較試験(T301試験)
- 目的:
- 過活動膀胱(OAB)患者を対象にベオーバを12週間経口投与した際の有効性(プラセボ投与に対する優越性)及び安全性を検討する。
- 対象:
- 20歳以上のOAB 患者1,232例(有効性解析対象例[FAS]1,224例、安全性解析対象例[SAS]1,225例)
- 方法:
- 多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験
2週間の観察期(プラセボ投与、単盲検下)終了後に、患者をベオーバ50及び100mg群、参照薬(イミダフェナシン0.2mg)群又はプラセボ群に3.3 : 3.3 : 1 : 3.3 の比で無作為に割り付け、12週間経口投与した。
- 主要評価項目:
- 12週時の1日平均排尿回数のベースラインからの変化量
- 副次評価項目:
- ・各評価時点におけるベースラインからの変化量(1日平均排尿回数、1日平均尿意切迫感回数、1日平均切迫性尿失禁回数、1日平均尿失禁回数、夜間平均排尿回数、平均1 回排尿量、キング健康調査票によるQOLのドメインスコア)・Patient global impression(PGI)による自覚的改善度の有効改善の割合
- 安全性評価項目:
- 有害事象、臨床検査、バイタルサイン、12誘導心電図検査、残尿量
- 解析計画:
- 主要評価項目について、ベオーバ50mg及び100mg群のプラセボに対する優越性を、閉手順により多重性を考慮し、制約付き経時測定データ解析(cLDA法)を用いた群間比較により検証した。副次評価項目は、cLDA 法あるいはχ2検定を用いた。
PGIによる自覚的改善度の有効改善割合の算出及びその両側95%信頼区間を推定し、ベオーバ50mg群及び100mg群のプラセボ群に対する群間比較を実施した。群間比較はχ2検定及び割合の群間差の両側95%信頼区間(Wald 信頼区間)を推定した。PGIによる自覚的改善度の有効改善の定義は、PGIスコアが「1:非常に良くなった」、「2:良くなった」及び「3:少し良くなった」に該当とした。以下、100mgは承認外の用量のためベオーバ50mg群の結果のみ記載
承認時評価資料:国内第Ⅲ相比較試験(T301試験)
・ベオーバ®は過活動膀胱の各症状を有意に改善しました。
排尿パラメータのベースラインからの変化量(12週時)
キング健康調査票によるQOLのドメインスコアのベースラインからの変化量のプラセボ群との差(試験終了時:12週又は中止時)(副次評価項目)
PGIによる自覚的改善度の有効改善割合(試験終了時:12週又は中止時)(副次評価項目)
● 副作用発現率
● 比較的頻度の高かった(発現率1%以上)副作用*
*いずれかの投与群で1%以上
● 投与中止に至った副作用
本試験において死亡例、重篤な副作用はいずれの投与群でも認められなかった。
・バイタルサインへの影響
バイタルサインのベースラインからの変化量の推移
- 【使用上の注意】(添付文書抜粋)
- 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)重篤な心疾患のある患者[心拍数増加等により、症状が悪化するおそれがある。]本剤の承認された用法・用量は「通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。」である。
中盤で、「PGIによる過活動膀胱患者の自覚的改善度の有効改善割合は、ベオーバ50mg群で90.8%でした。」の図ですが、
プラセボ群の自覚的改善度の有効改善割合が76.2%であり驚きました。やっぱり過活動膀胱の原因が心因性のものが大きいなと思います。
副作用
・副作用
国内で実施された過活動膀胱患者を対象とした第Ⅲ相比較試験及び第Ⅲ相長期投与試験において、本剤50mg又は100mg注1)を投与した906例中75例(8.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、口内乾燥、便秘各11例(1.2%)、尿路感染(膀胱炎 等)、残尿量増加各6例(0.7%)、肝機能異常、CK(CPK)上昇各3例 (0.3%)であった。(承認時)
注1):本剤の承認用量は50mgである。
- (1)重大な副作用
- 尿閉(頻度不明)
尿閉があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- (2)その他の副作用
- 次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
1~2%未満 1%未満 頻度不明 注2) 精神神経系 傾眠 頭痛、めまい、不眠症 消化器 口内乾燥、便秘 腹痛 悪心、腹部膨満、消化不良、胃炎、胃食道逆流性疾患、下痢 循環器 動悸 QT延長 泌尿器・腎臓 尿器感染(膀胱炎 等)、残尿量増加、排尿困難 排尿躊躇、膀胱痛、遺尿 皮膚 発疹、多汗症 眼 羞明 眼乾燥、霧視 肝臓 肝機能異常、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、AI-P上昇 その他 CK(CPK)上昇、口渇 疲労、ほてり、高脂血症、体液貯留、筋肉痛、浮腫 注2):後期第Ⅱ相国際共同試験のみで認められた副作用は頻度不明とした。
出典元:添付文書
口内乾燥、便秘が1~2%未満ですが、尿路感染、肝機能障害には注意する必要があると思います。
また、重大な副作用として尿閉があるため、抗コリン薬、オピオイド系などを併用して使用している場合特に注意する必要があると思います。
相互作用
相互作用
ビベグロンはCYP3A4又はP-糖タンパク(P-gp)の基質であることが示唆されている。
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 アゾール系抗真菌剤
イトラコナゾール等
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビル等ケトコナゾールと併用したとき、ビベグロンの血中濃度が上昇したとの報告がある。 CYP3A4及びP-gpを阻害する薬物と併用することにより、ビベグロンの血中濃度が上昇する可能性がある。 リファンピシン
フェニトイン
カルバマゼピンビベグロンの作用が減弱する可能性がある。 CYP3A4及びP-gpを誘導する薬物と併用することにより、ビベグロンの血中濃度が低下する可能性がある。 出典元:添付文書
ピベグロンはCYP3A4とP糖タンパクの基質とのことなので、上記に上がっている薬剤と肝機能低下時などは注意する必要がありそうです。
特徴【粉砕可能】
ベタニスと比較すると、ベタニスであった禁忌項目(妊婦・授乳婦に禁忌、重度の肝障害、重度の心疾患)がこのベオーバにはありません。過敏症の既往歴のみです。
また、副作用の頻度がベオーバの方が低いようです。
また、ベタニスは徐放性製剤のため、粉砕はできないようですが、ベオーバはフィルムコーティング錠のため粉砕可能です。
使用成績な副作用の更新があれば見解は変わりますが、データだけで見ればベオーバの方が使いやすい印象を受けます。
まとめ
新しい選択的β3アドレナリン受容体作動薬のベオーバでした。
ベタニスでは使用できなかった 禁忌該当患者(妊婦・授乳婦に禁忌、重度の肝障害、重度の心疾患) さんに使用出来るようです。(注意は必要です!)
また、潰すことも出来るようですので、嚥下機能が悪い患者さんにも投与可能です。
ベオーバ錠の説明については以上となります。
上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。
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