2019 年1月8日に承認、2019年3月販売開始となりました。
ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤である新しい作用機序の骨粗鬆症治療薬イベニティ®皮下注[ロモソズマブ(遺伝子組換え)]について説明します。
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医薬品情報(基本項目)
販売名 | イベニティ®皮下注105㎎シリンジ |
名前の由来1) | 海外における製品名「EVENITY」より |
一般名 | ロモソズマブ (遺伝子組換え) [洋名:Romosozumab (Genetical Recombination)] |
製造販売元 | アステラス・アムジェン・バイオファーマ(株) |
薬効分類 | ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤 |
効能・効果 | 骨折の危険性の高い骨粗鬆症 |
用法・用量 | ロモソズマブ210mg(シリンジ2本)を1ヵ月に1回 12ヵ月皮下投与 ※注意点あり |
出典元:インタビューフォーム、添付文書
骨粗鬆症とはどんな病気?
骨粗鬆症
加齢などにより骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、相対的に骨吸収が優位になることで、骨の量(骨量)が減って骨が脆くなり、骨折しやすくなる病気です。
日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
症状
骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です。しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。
骨折が生じやすい部位は、背骨(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。
骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。
高齢の方で、骨折をしてしまうと骨折をしていない人と比べると予後(今後生きれる時間)が短くなる傾向があります。
骨折のため運動が出来ず運動不足が続き、他の病気が悪化するなど悪いサイクルを生みやすいためです。
そのため、骨粗鬆症は骨折する前に予防治療が大切となります。
イベニティ®皮下注(ロモソズマブ)の作用機序【医療者向け】
スクレロスチン とは?
スクレロスチンは骨細胞によって骨の内部で産生される糖タンパク質です。
スクレロスチンにより、骨芽細胞による骨形成を抑制し、破骨細胞による骨吸収を促進します。
(さらに詳しく:Wntシグナルは骨量増加に関わる細胞内シグナル伝達機構の一つ。スクレロスチンはWntシグナル伝達を抑制することで、骨量減少を引き起こす。)
ロモソズマブ(遺伝子組換え)は、スクレロスチンに結合してこれを阻害するヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体であり、骨形成を促進し、また骨吸収を抑制することにより、海綿骨及び皮質骨の骨量が急速に増加し、骨の構造及び強度が向上することで骨折リスクを低下させると考えられています。
イベニティの作用
・骨形成促進作用
骨ライニング細胞を活性化、骨芽細胞を活性化、骨芽細胞前駆体の分化を誘導することにより骨形成を促進します。
・骨吸収抑制作用
骨細胞における破骨細胞のメディエーターの発現の比率を変化させることにおり骨吸収を抑制します。
今までの骨粗鬆症治療薬では、骨吸収抑制作用のみや骨形成促進作用のみの薬剤しかなく、1剤で双方の作用する初めての薬剤となり期待されています。
臨床試験の結果について【FRAME試験】
・主要評価項目
・サブスタディ
そのほかの臨床試験データはこちらに載っています。
この結果を見て、新規椎体骨折のは発現率が約2%(相対リスク減少率は約70%)現象している。2%であるが、相対リスクはプラセボと比較して約70%は大きいと言えます。
サブスタディであるBMDのベースラインからの変化率推移ですが、6か月~12か月の変化率は0~6か月に比べ穏やかになっており、イベニティを12か月(1年)以上継続して投与しても、上昇効果はそこまで高くなかったとMRさんから聞いています。そのため、用法容量で12か月(1年)で一度薬剤を中止するように明記されており、結果論からの12か月(1年間)指定のようです。(※MRさんの情報ですが公式発表かは不明です)
副作用
・副作用
骨粗鬆症患者を対象とした主要なプラセボ対照国際共同第III相試験(20070337試験及び20110174試験)で本剤の投与を受けた3744例中615例(16.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、関節痛(1.9%)、注射部位疼痛(1.3%)、注射部位紅斑(1.1%)、鼻咽頭炎(1.0%)であった。(承認時)
重大な副作用及び副作用用語
重大な副作用
低カルシウム血症(頻度不明)
QT延長、痙攣、テタニー、しびれ、失見当識等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの補充に加えて、緊急時には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
顎骨壊死・顎骨骨髄炎(頻度不明)
顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折(頻度不明)
大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折を生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
その他の副作用
1%以上 1%未満 一般・全身障害及び投与部位の状態 注射部位反応(疼痛、紅斑等) 末梢性浮腫 免疫系障害 過敏症(発疹、皮膚炎、蕁麻疹、血管浮腫、多形紅斑等) 感染症及び寄生虫症 鼻咽頭炎 神経系障害 頭痛 呼吸器、胸郭及び縦隔障害 咳嗽 筋骨格系及び結合組織障害 関節痛 頸部痛、筋痙縮 出典元:添付文書
イベニティの副作用では、骨吸収抑制薬と同じように、顎骨壊死の副作用に注意が必要です。
臨床試験では、全例で1件報告されていました(義歯の影響もあるようですが)。
予防のため、イベニティ®投与中に歯科治療が必要な場合は一時中止が必要です。
具体的には、抜歯、矯正など歯と顎に負担がかかる治療は顎骨壊死の副作用の引き金となります。
その他は、低カルシウム血症にも注意しましょう。
2019年7月発行レターについて【虚血性心疾患・脳血管障害発現リスク】
※2019年7月29更新
7月にアステラス社からレターが発行されました。
イベニティ 適正使用のお願い 虚血性心疾患又は脳血管障害発現のリスクについて(アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社)
要点をまとめると、
●WHOによる重症骨粗鬆症の定義等(注.1)を参考に、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」であることを守り、心血管系リスクの高い患者には、リスクベネフィットをよく考えて使用してください。
(注.1)
・WHOにおける重症骨粗鬆症の定義
・原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)(日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会合同原発性骨粗鬆症診断基準改訂検討委員会編)において骨折の危険性が高い骨粗鬆症の独立した危険因子
●通常、イベニティ処方医と心疾患治療医が異なるため、処方医は、心血管系の主治医と連携を取り、使用についての吟味や副作用発現に努めるようにしてください。
・薬剤師には、あまり関係ありませんが、原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)について参考のため載せておきます。リンクにはPDFがあります。
虚血性心疾患及び脳血管障害の徴候や症状を患者に説明して異常時は早期の受診を進めると同時に、添付されいている患者カードを携帯・提示を患者さんに指導するように努める。
以上より、
薬剤師として求められる事は、虚血性心疾患及び脳血管障害の徴候や症状を患者に説明するとともに、症状発現時は早期受診するような指導が必要となります。
また、他院にてイベニティが使用されている場合は、心血管系の基礎疾患が無いか、主治医は知っているかを調査する必要がありそうです。
歯科治療前のイベニティの休薬期間について
骨吸収阻害薬を服用中の場合で、抜歯の歯科治療が必要な際は、3か月間休薬する対応がガイドラインで定めれれています。
しかし、イベニティでは、まだ発売されたばかりであり、休薬期間(中止期間)の目安はありません。
MRからも情報の提供はありませんでした。医師・歯科医師の先生の判断になると思います。
ガイドラインが更新された際に更新させていただきます。
顎骨壊死とは?
がん(悪性腫瘍)の骨病変や骨粗鬆症などに使用されるビスホスホネート系薬やデノスマブによる治療中、もしくは治療歴のある場合、まれに顎骨壊死・顎骨骨髄炎がみられることがあり、近年増加傾向にあります。
抜歯などの歯科処置後に症状が明らかになることもありますが、特にきっかけなく起こることも珍しくありません。
次のような症状(↓例)がみられた場合には、放置せずに医師・歯科医師・薬剤師に連絡してください。
・症状の例
「歯ぐきやあごが腫れてきた、痛い」
「下くちびるがしびれた感じがする」
「歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた」
「抜歯後の治りが良くない」
「歯がぐらついてきて、自然に抜けた」
用法・用量の注意点
骨折の危険性の高い骨粗鬆症
効能効果に関連する使用上の注意
本剤の適用にあたっては、低骨密度、既存骨折、加齢、大腿骨頸部骨折の家族歴等の骨折の危険因子を有する患者を対象とすること。海外で実施されたアレンドロン酸ナトリウムを対照とした比較試験において、心血管系事象(虚血性心疾患又は脳血管障害)の発現割合がアレンドロン酸ナトリウム群に比較して本剤群で高い傾向が認められている。本剤の投与にあたっては、本剤のベネフィットとリスクを十分に理解した上で、適用患者を選択すること。
出典元:添付文書
「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」との記載であり、明確な基準は定められていない。
そのため、医師の判断による事になる。
なんだかの基準があった方が使用がしやすく、かつ不適切使用が減少すると思いますが、今後ガイドラインの更新などに期待したいです。
※2019年7月のレターにより、明確な基準は定められてないものの、指標は提示されました。
アステラス社によると、
①WHOにおける重症骨粗鬆症の定義
②原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)(日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会合同原発性骨粗鬆症診断基準改訂検討委員会編)において骨折の危険性が高い骨粗鬆症の独立した危険因子
上記定義を参考に骨折の危険性の高い骨粗鬆症に使用するように伝えられています。
・用法用量に関連する使用上の注意
本剤の骨折抑制効果は12ヵ月の投与で検証されており、12ヵ月を超えた投与では検討されていない。また、本剤投与終了後に原則として適切な骨粗鬆症薬による治療を継続すること。ロモソズマブ(遺伝子組換え)210mgを投与するために、本剤2本を皮下に投与すること。
本剤の投与が予定から遅れた場合は可能な限り速やかに投与を行い、以後、その投与を基点とし、1ヵ月間隔で投与すること。
出典元:添付文書
12か月以上の投与は原則行わないようにし、投与後には骨粗鬆症治療薬に切り替えるようにされています。12か月以上使用する場合は理由が必要となります。
臨床結果の結果より、アレンドロネート群やデノスマブに切り替える事になりそうですね。
また、もともとビスホスホネート製剤を使用している場合は一度、使用中の薬剤を中止して、イベニティ®を投与する必要があります。知らない間に併用していないように注意しないといけませんね。
まとめ・あとがき
新しい 作用機序の骨粗鬆症治療薬 イベニティ®皮下注[ロモソズマブ(遺伝子組換え)]について説明しました。
骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の2つを兼ね備えた薬剤です。
今までの骨吸収抑制作用と同様に、顎骨壊死・低カルシウム血症には注意が必要です。
用法・用量に12か月を超える投与は原則認められておらず、適切な骨粗鬆症治療薬に切り替える必要がありますので、投与が何か月目かしっかり見ておく必要があります。
効果はビスホスホネート製剤より高いため、今後使用する頻度が増えてきそうな薬剤でした。
イベニティ®注[ ロモソズマブ (遺伝子組換え) ] の説明については以上となります。
上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。
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