2019年1月8日承認、2019年4月15日発売となりました。
電位依存性カルシウムチャネル(α2δ サブユニット)作用薬であるタリージェ錠(ミロガバリン)について説明するとともに、リリカとの違いを説明していきます。
こんな方におすすめ
- タリージェ(ミロガバリン)の作用機序が知りたい
- タリージェとリリカどっちが良いの?何が違うの?
- 腎機能による調節は必要?
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医薬品情報(基本項目)
↓ の表は右にスライドします
販売名 | タリージェ®錠 |
名前の由来 | Targeting 由来の“Tar” + Ligand 由来の“Lig” 「タリージェ (Tarlige)」 |
一般名 | ミロガバリンベシル酸塩(洋名: Mirogabalin Besilate) |
製造販売元 | 第一三共株式会社 |
薬効分類 | 末梢性神経障害性疼痛治療剤 |
効能・効果 | 末梢性神経障害性疼痛 |
用法・用量 | 初期用量:1回5mgを1日2回経口投与し、1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。 なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。 |
薬価 | タリージェ®錠 2.5mg : 1錠 78.00円 タリージェ®錠 5mg : 1錠 107.70円 タリージェ®錠 10mg : 1錠 148.70円 タリージェ®錠 15mg : 1錠 179.60円 (2019年5月現在) |
末梢性神経障害とは?
末梢神経(体の端の方の神経)には、全身の筋肉を動かす運動神経、痛みや触れた感触などの皮膚の感覚や関節の位置などを感じる感覚神経、血圧・体温の調節や心臓・腸など内臓の働きを調整する自律神経があります。
末梢神経障害は、これらの神経の働きが悪い、傷ついているために起こる障害のことです。
●主な症状
運動障害:「手や足の力が入らない」「足先が垂れてつまずきやすい」「立ち上がりがうまくできない」「物をよく落とす」など
- 感覚障害:「手足がジンジンと痛む」「手足の感覚がなくなる」「手足がピリピリとしびれる」など
- 自律神経障害:「手や足が冷たい」、「下半身に汗をかかない」など
タリージェ錠(ミロガバリン)の作用機序【医療者向け】
ミロガバリンは電位依存性カルシウムチャネルの α2δ サブユニットに強力かつ特異的に結合するリガンドであり、特に、神経障害性疼痛において重要な役割を担う α2δ-1 サブユニットに対して持続的に結合する。α2δリガンドは、カルシウムイオンの流入を抑制することで興奮性神経伝達物質の過剰放出を抑制することにより鎮痛作用を発現すると考えられている。
出典元:インタビューフォーム
α2δ-1 サブユニットが鎮痛作用があり、α2δ-2サブユニットは中枢神経系障害へ影響します。
α2δ-1 サブユニットに選択性を強めていいるけど、α2δ-2サブユニットにもくっついてしまうよう。これはリリカも同じです。
作用機序ポイント
・電位依存性カルシウムチャネルの α2δ-1 サブユニットに持続的に結合する
・リリカと作用機序は同じ
用法・用量【腎機能による投与量・透析患者】
リリカ®(プレガバリン)と同様に腎機能によって投与量が決まっています。
リリカ®(プレガバリン)と違い、透析後に補充は必要ないようです。インタビューフォームにも、透析によるタリージェ錠(ミロガバリン)の除去率は15.3%と記載されています。
透析後に服用する変則的な飲み方をしないでいいので、コンプライアンスは向上しますが、誤った投与量や腎機能が悪化した場合は血中濃度低下まで待つしかないようです。注意していきましょう。
ちなみに、リリカは除去率が58%であり、透析でかなり抜けます。
重要ポイント
・透析患者での投与量はCcr30mL/min未満と同様
・リリカ(プレガバリン)と異なり、透析後の補充内服は不要
副作用【タリージェの方が少し眠気が少ない】
副作用等発現状況の概要
〈糖尿病性末梢神経障害性疼痛〉
日本を含むアジアで実施した糖尿病性末梢神経障害性疼痛患者を対象とした臨床試験において、854例中267例(31.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、傾眠107例(12.5%)、浮動性めまい77例(9.0%)、体重増加27例(3.2%)等であった。〔承認時〕
〈帯状疱疹後神経痛〉
日本を含むアジアで実施した帯状疱疹後神経痛患者を対象とした臨床試験において、553例中241例(43.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、傾眠110例(19.9%)、浮動性めまい65例(11.8%)、体重増加37例(6.7%)等であった。〔承認時〕重大な副作用
1. めまい(頻度不明)、傾眠(頻度不明)、意識消失(0.1%未満)
めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止又は減量するなど適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害
頻度不明
AST(GOT)、ALT(GPT)上昇等の肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、全身倦怠感や食欲不振等の初期症状を含む異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。出典元:インタビューフォーム
リリカと同様に、傾眠(眠気)、浮動性めまいの副作用が高いです。
どちらが副作用が出やすいのか、気になりますよね。
リリカと比較してみましょう。
<糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛>
国内二重盲検比較試験、国内長期投与試験において、本剤150〜600mg/日を1日2回で投与された安全性評価対象例302例中199例(65.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、傾眠74例(24.5%)、浮動性めまい68例(22.5%)及び浮腫52例(17.2%)であった。(承認時までの調査の集計)<帯状疱疹後神経痛>
国内用量反応試験、国内長期投与試験、外国後期第II相試験、外国第III相試験及び外国長期投与試験において、本剤75〜600mg/日を1日2回あるいは1日3回で投与された安全性評価対象例1,680例中1,084例(64.5%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい393例(23.4%)、傾眠267例(15.9%)及び浮腫179例(10.7%)であった。(承認時までの調査の集計)出典元:リリカカプセル 添付文書
パーセントだけでみると、適応症によって結論が違っています。タリージェ錠の方が少しだけ眠気が少ないのか?
っというぐらいしか言えませんね。また研究してみたいですね。
相互作用
ミロガバリンは主として腎からの糸球体ろ過及び尿細管分泌により排泄される。ミロガバリンの分泌に関わる主なトランスポーターは、有機アニオントランスポーター(OAT)1、OAT3、H+/有機カチオンアンチポーター(MATE)1及びMATE2-Kである。また、UDPグルクロン酸転移酵素(UGT)による代謝も受ける。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
プロベネシド
臨床症状・措置方法
併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
プロベネシドのOAT1、OAT3及びUGTの阻害作用によると考えられる。
2. 薬剤名等
シメチジン
臨床症状・措置方法
併用により本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
シメチジンのMATE1及びMATE2-Kの阻害作用によると考えられる。
3. 薬剤名等
ロラゼパム
アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
注意力、平衡機能の低下を増強するおそれがある。
機序・危険因子
相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられる。出典元:添付文書
代謝経路による阻害作用が見て取れますね。
気になるリリカを見てみましょう。
併用注意
1. 薬剤名等
中枢神経抑制剤
オピオイド系鎮痛剤
臨床症状・措置方法
呼吸不全、昏睡がみられたとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
2. 薬剤名等
オキシコドン
ロラゼパム
アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
認知機能障害及び粗大運動機能障害に対して本剤が相加的に作用するおそれがある。
機序・危険因子
相加的な作用による
3. 薬剤名等
血管浮腫を引き起こす薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬等)
臨床症状・措置方法
血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫(顔面、口、頸部の腫脹など)を発症するリスクが高まるおそれがある。
機序・危険因子
機序不明
4. 薬剤名等
末梢性浮腫を引き起こす薬剤(チアゾリジン系薬剤等)
臨床症状・措置方法
チアゾリジン系薬剤と本剤の併用により末梢性浮腫を発症するリスクが高まるおそれがある。また、チアゾリジン系薬剤は体重増加又は体液貯留を引き起こし、心不全が発症又は悪化することがあるため、本剤と併用する場合には慎重に投与すること。
機序・危険因子
機序不明出典元:リリカ 添付文書
こちらは代謝経路というより、眠気による副作用が併用薬によって上乗せされて中枢性や認知機能に影響を与えているようですね。
タリージェ錠の方が使用により新たな副作用等増えてくる可能性もありますね。
リリカからタリージェへの切り替えについて【MRより確認済み】
疑問点
「リリカの眠気の副作用が強いからタリージェに切り替えようか」
「リリカとタリージェは同時に投与していいのだろうか?」
上の切り替えについての回答ですが、
リリカとタリージェ錠は力価換算はできないため、いきなりのスイッチは副作用の増加を招きます!
具体的な切り替え方法は、リリカを飲んでいる場合は離脱症状に注意しながら減量し、OFFとなったところで、タリージェを初期投与量から開始し増量していくこととなります。
しかし、リリカが減量されている時に疼痛が強くなってしまうので、患者さんの不利益が生じてしまいます。切り替えを早まると副作用の発現率が高くなるため、ここは我慢していただくことになります。
また、現時点で、タリージェとリリカの換算表はありません。
【まとめ】 タリージェ錠(ミロガバリン)とリリカどちらを使う?
ポイント
・リリカと同じ作用機序(カルシウムチャネル α2δ-1 サブユニットに結合)
・適応範囲:リリカ(中枢性・末梢神経障害)>タリージェ(末梢神経障害のみ)
・眠気の少なさ:タリージェ?≧リリカ
・腎機能で投与量を調整が必要(※透析後の補充は不要)
カルシウムチャネル α2δ-1 サブユニットに結合する末梢神経障害性疼痛治療剤であるタリージェ錠です。
タリージェ錠は現在適応が末梢神経障害のみであり、中枢性にも適応があるリリカの方に使用範囲では、軍配が上がります。
ただ α2δ-1サブユニットに選択性がリリカより高いため、眠気の副作用はタリージェ錠の方が低い可能性があります。(データがある程度溜まってきたら更新します。)
リリカで眠気が強く出る場合は、タリージェ錠に切り替えも良いかもしれません。
また併用薬の相互作用によっても差別化できます。
ただ、リリカとタリージェ錠は力価換算はできないため、いきなりのスイッチは副作用の増加を招きます!
そのため、リリカを飲んでいる場合は離脱症状に注意しながら減量し、OFFとなったところで、タリージェを初期投与量から開始し増量していくこととなります。
結果として、リリカが減量されている時に疼痛が強くなってしまうので、患者さんの不利益が生じてしまいます。
また、現時点で、タリージェとリリカの換算表はありません。
切り替える時に患者さんの痛みが強くなるのをどうにかならないだうか……難しい
タリージェ錠について説明は以上となります。
上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。
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