医薬品

スマイラフ錠(ペフィシチニブ)の作用機序・副作用【JAK阻害剤】

2019年3月26日製造販売の承認、2019年7月10日発売となりました。

新しいJAK阻害薬であるスマイラフ錠(ペフィシチニブ)について病院薬剤師目線から説明します。

関節リウマチ

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医薬品情報(基本項目)

販売名スマイラフ錠(50㎎、100㎎)
名前の由来Smile」と「Rheumatoid Arthritis」と「Life」を用いた造語に由来している。
一般名ペフィシチニブ臭化水素酸塩(洋名:Peficitinib Hydrobromide)
製造販売元アステラス製薬株式会社
薬効分類 ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
効能・効果既存治療で効果不十分な関節リウマチ
(関節の構造的損傷の防止を含む)
用法・用量150mg 1日1回
(患者の状態に応じて100㎎ 1日1回)
薬価スマイラフ錠50㎎   1錠 1741.00円
スマイラフ錠100㎎   1錠 3379.90円
(2019年5月現在)
剤形フィルムコーティング錠
投与制限解除月 2020年6月1日(令和2年6月1日)
ペフィシチニブ臭化水素酸塩構造式

出典元:スマイラフ添付文書スマイラフインタビューフォーム

関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)とは?

免疫の異常により関節の炎症や痛みを起こし、そののち変形をきたす病気です。

主に手足の関節で起こりますが内臓を侵すこともあります。

●主な症状

・関節の痛み、腫れ、朝のこわばり

左右対称性に複数の関節に起こる事が多いです。

90%の人が手足の指関節に症状がみられますが、膝、肘、肩、足首などにも痛みが現れることがあります。

スマイラフ錠(ペフィシチニブ)の作用機序【医療者向け】

JAKファミリーは、免疫・炎症反応及び造血等に関与するサイトカインや成長因子の受容体の細胞内領域に会合しており、受容体下流の細胞内シグナル伝達において重要な役割を担っている。シグナル伝達に介在するJAKは受容体によって異なっており、IL-2受容体のシグナル伝達にはJAK1及びJAK3が、また、エリスロポエチン受容体のシグナル伝達にはJAK2が介在する。ペフィシチニブは、JAKファミリーの各酵素、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2を阻害するJAK阻害剤であり、IL-2をはじめとする各種サイトカインのシグナル伝達を阻害し、T細胞の増殖やIFN-γ、TNF-α等のRAの病因に関わる炎症性サイトカインの産生を抑制する。

出典元:スマイラフ インタビューフォーム


出典元:スマイラフ錠インタビューフォーム

良くある質問の回答 (スマイラフの製品Q&Aより抜粋 )

スマイラフ錠の標的分子に対する作用について教えて下さい

ペフィシチニブは、JAKファミリーの各酵素、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の活性を阻害する。In vitroキナーゼアッセイにおいて、それぞれ、IC50値はそれぞれ、3.92、5.01、0.71、4.79nmol/Lです。

スマイラフは食事の影響を受けますか。

承認された用法は「1日1回食後に経口投与」です。

食後以外の投与(食前投与など)は承認外となります。

食事の影響を検討した臨床試験において、ペフィシチニブは空腹時投与に比べ食後投与では暴露量が増加しました

日本人健康成人(18例)にペフィシチニブ150mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に比べ食後投与ではCmaxは56.4%、AUClastは36.8%増加した

出典元:スマイラフ添付文書

血中濃度を高くし、薬剤の効果を出すためには、食後投与が必要です。

スマイラフを妊婦・授乳婦に投与しても良いか。

動物実験により、催奇形性が報告されており、妊婦には禁忌

ラットにより、乳汁中への移行及び出生児の発育への影響が報告されています。

副作用

・副作用等発現状況の概要
後期第2相試験、第3相臨床試験2試験及び継続投与試験の4試験の安全性併合解析において、本剤が投与された患者1052例中810例(77.0%)において副作用が認められた。

主な副作用は、上咽頭炎296例(28.1%)、帯状疱疹136例(12.9%)、血中CK増加98例(9.3%)等であった。(承認時)

・重大な副作用
1) 感染症
帯状疱疹(12.9%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎等を含む)(4.7%)、敗血症(0.2%)等の重篤な感染症があらわれることがある。
2) 好中球減少症(0.5%)、リンパ球減少症(5.9%)、ヘモグロビン減少(2.7%)
本剤投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査を行うこと。
3) 消化管穿孔(0.3%)
異常が認められた場合には投与を中止するとともに、腹部レントゲン、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと。
4) 肝機能障害、黄疸
AST(0.6%)、ALT(0.8%)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(5.0%)があらわれることがある。
5) 間質性肺炎(0.3%)
発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。

出典元:スマイラフ錠添付文書

その他の副作用 出典元:スマイラフ錠添付文書

頻度の高い副作用として、上咽頭炎296例(28.1%)、帯状疱疹136例(12.9%)があげられます。これは、JAKファミリーを阻害薬による免疫機能の低下に関連して生じる副作用です。

警告・禁忌

【警告】
(1) 本剤投与により、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現若しくは悪化等が報告され、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致死的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
(2) 感染症
1) 重篤な感染症
敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。(「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
2) 結核
播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、脳髄膜、胸膜、リンパ節等)を含む結核があらわれる可能性がある。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること。また、ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核があらわれる可能性がある。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照)
(3) 本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること

(抜粋)

・臨床成績5 

臨床試験における悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率第3相試験2試験の併合解析において、報告された100人・年あたりの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率(95%信頼区間)は、本剤100mgで1.2(0.5, 3.3)、150mgで0.0、本剤合計で0.6(0.2, 1.6)であった。
後期第2相試験、第3相試験2試験及び継続投与試験の4試験の安全性併合解析において、報告された100人・年あたりの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率(95%信頼区間)は、本剤合計で0.9(0.6, 1.3)であった。また、投与期間別の発現状況は下記のとおりであった。(「臨床成績の表」表9参照)

出典元:スマイラフ添付文書

重篤な感染症は禁忌でも記載されているが、悪性腫瘍の発現も報告されているため、患者に良く説明し、了承を得る必要があります

悪性腫瘍の発現頻度についてですが、添付文書の記載があります。

【禁 忌(次の患者には投与しないこと)】
(1)重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
(2)活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
(3)重度の肝機能障害を有する患者[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
(4)好中球数が 500/mm3 未満の患者
(5)リンパ球数が 500/mm3 未満の患者
(6)ヘモグロビン値が 8g/dL 未満の患者
(7)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(8)妊婦又は妊娠している可能性のある女性[動物実験において催奇形性が報告されている。

出典元:スマイラフ添付文書

スマイラフ錠は免疫反応に関与するJAKファミリーを阻害するため、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼし、感染症の発現や増悪の恐れがある。同様な理由で活動性の結核患者も禁忌となります。

また、ヘモグロビン8g/dL未満の患者に禁忌な理由は、臨床試験により本剤の投与経験がなく、他のJAK阻害剤の添付文書を参考に設定されています。

【まとめ】スマイラフ錠(ペフィシチニブ)の作用機序・副作用【JAK阻害剤】

新しいJAK阻害薬であるスマイラフ錠(ペフィシチニブ)について説明しました。

免疫・炎症反応に関与するJAKファミリーを阻害することで、IL-2をはじめとする各種サイトカインのシグナル伝達を阻害し、T細胞の増殖やIFN-γ、TNF-α等のRAの病因に関わる炎症性サイトカインの産生を抑制する作用があります。

その結果、リウマチ症状の改善が見込めますが、免疫機能が低下することで感染症が発生する可能性があります。

また、かなり低い頻度ですが、悪性腫瘍の発現もあるため、投与前には説明されているか確認をした方が良いです。

最後に、食事の影響を受けますので、必ず食後投与の用法であることを確認するようにしましょう。

スマイラフ錠(ペフィシチニブ)について説明は以上となります。

上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書(スマイラフ)インタビューフォーム(スマイラフ)を読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。

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