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乳がんに対する三次治療(四次治療)として、抗HER2抗体トポイソメラーゼⅠ阻害剤複合体であるエンハーツ注(トラスツズマブ デルクステカン)について、添付文書とインタビューフォーム中心に、病院薬剤師目線から説明します。
こんな方におすすめ
- エンハーツの作用機序は?
- エンハーツの服薬指導の注意点
- エンハーツとハーセプチンの違いは?
- 遮光が必要な理由は?
医薬品情報(基本項目)
↓ の表は右にスライドします
販売名 | エンハーツ点滴静注 |
名前の由来 | 治療アウトカムを高める(Enhance)+ HER2を標的とする作用機序 |
一般名 | トラスツズマブ デルクステカン (洋名:Trastuzumab Deruxtecan) |
製造販売元 | 第一三共株式会社 |
薬効分類 | 抗悪性腫瘍剤-抗HER2 抗体トポイソメラーゼⅠ阻害剤複合体 |
効能・効果 | 化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌 (標準的な治療が困難な場合に限る) |
用法・用量 | 成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kgを90分かけて3週間間隔で点滴静注 初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮可能 |
薬価 | エンハーツ®点滴静注用100mg:100mg 1瓶 165,074円 |
問い合わせ窓口 | 第一三共株式会社 製品情報センター |
エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【HER2抗体+トポイソメラーゼⅠ阻害】
エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【HER2抗体+トポイソメラーゼⅠ阻害】
さっそく、エンハーツIFの作用機序の項目原文を見てみましょう。
トラスツズマブ デルクステカンは、HER2に対するヒト化モノクローナル抗体(MAAL-9001)とトポイソメラーゼ I阻害作用を有するカンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体であり、1 抗体あたりの薬物抗体比(DAR)は約 8 である。
トラスツズマブ デルクステカンは、腫瘍細胞の細胞膜上に発現する HER2 に結合して細胞内に取り込まれた後、腫瘍細胞内のリソゾーム酵素でリンカーが切断されることにより MAAA-1181a が遊離し、トポイソメラーゼ I 阻害作用により DNA 損傷やアポトーシスを誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制する出典元:インタビューフォーム
少し分かりにくいので、まとめていきます。
まずは、構造から
エンハーツの構造 ・HER2に対するヒト化モノクローナル抗体(MAAL-9001) + (リンカーを介して結合) ・トポイソメラーゼ I 阻害作用を有するカンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)
作用機序(図参照)は、以下の順番です。
作用機序
①トラスツズマブ デルクステカンがHER2発現腫瘍細胞のHER2に特異的に結合
②トラスツズマブ デルクステカンが細胞内に取り込まれ、リソゾーム酵素によりリンカーが切断される
③MAAA-1181aが遊離される
④細胞核においてトポイソメラーゼⅠを阻害し、DNA損傷
➡アポトーシスを誘導し、腫瘍細胞増殖抑制
簡単に伝えると、HER2発現の腫瘍細胞に結合し、リソゾーム酵素により代謝され、トポイソメラーゼⅠを阻害し、アポトーシスを誘導する薬剤となります。
リソゾーム酵素とは?
生体膜につつまれた構造体で細胞内消化の場
リソソーム、ライソソーム、ライソゾーム、水解小体(すいかいしょうたい)とも呼ばれる。
適応・用法用量
次に、用量について説明です。
通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
出典元:添付文書
調製の注意点【溶解:注射用水、希釈:5%TZ】
エンハーツは調製に注意が必要な薬剤です。
■溶解液は注射用水5mL
まず、溶解液には、注射用水5mLを用います。希釈液はブドウ糖で、溶解液とは異なるので、レジメンチェックの際に確認必須です。
■希釈液は5%ブドウ糖液
溶解すると1mLあたり20㎎のトラスツズマブ デルクステカンとなります。(20㎎/mL)
希釈はブドウ糖液でなければいけません。
生食液で希釈すると、凝集が生じ効果が発揮されないようです。(MR情報)
■調製後は速やかに使用
・調製後に保存する場合は、遮光・2~8℃で24時間以内
・室温での調製及び投与は合わせて4時間以内
■インラインフィルターの使用が必須
0.2μmのインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製又はポリスルホン製)を通して投与する
遮光カバーが必要な理由
遮光が必要と言われていますが、カンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)が光に弱いようです。MRより聞いたのですが、関連資料を探したところ見つけきれませんでした。
ただ、「光に弱い」と思われていたが、実際に遮光無しで薬剤の残存量を測定したところほぼ減少していなかったそうです。
実際に、現場で想定される状況としては、以下でしょう。
・調製後遮光カバー無しで払い出してしまった
・遮光を気づいた時からしても良いか、中止した方が良いか
正式な情報がないので、メーカーに問い合わせが良いでしょう。
遮光カバーが必要な理由
・カンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)が光に弱い
・遮光カバー無しの場合のデータは公表されていない
・緊急時は、メーカー(0120-065-132)に状況を説明して回答を得るべきor事前に公式文書として、対応を確認するべき
副作用・警告・禁忌【要注意:間質性肺炎】
■警告
警告には、間質性肺疾患の副作用に関連した記載があります。医師向けが多いですが、薬剤師に関連しているところとしては、「間質性肺疾患の死亡例がある事、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)のキャッチ」が重要かと思います。
エンハーツによる間質性肺疾患に明確な好発時期はなく、治療期間を通じて発現する可能性があります。
1. 警告
1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、投与中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、呼吸器疾患に精通した医師と連携して使用すること。投与中は、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、定期的な動脈血酸素飽和度(SpO2)検査、胸部X線検査及び胸部CT検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
1.3 本剤投与開始前に、胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴がないことを確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。出典元:添付文書
■禁忌:過敏症の既往
間質性肺疾患の副作用の頻度(日本人)
間質性肺疾患の発現率がかなり高いので、みてみましょう。
・全体(N=184)の発現率8.2%に対し、日本人(N=30)は23.3%
日本人の方が約3倍の発現率を示しています。この背景として考えられるのは、日本人は間質性肺疾患の発現率が元々高く、それ故検査が注意深くされていたと個人的には考えます。
理由はどうであれ、発現率が23.3%とかなりの数値なため、チェック体制は厳格に取るべきです。本剤は全例調査対象です。
個人的見解
・日本人は間質性肺疾患の発現率が高い(ゲフィチニブ、イレッサなども同様)
・他国より間質性肺疾患のAEに注意深かった
結論➡間質性肺疾患の発現に特別注意すべき
副作用
■重大な副作用
間質性肺疾患(8.2%)、骨髄抑制(45.1%)、インフュージョンリアクション(3.3%)
■副作用
主な副作用は、悪心(76.1%)、疲労(54.3%)、脱毛症 (46.2%)、嘔吐(42.4%)、好中球減少(29.9%)、食欲減退(28.3%)、下痢(21.7%)、貧血(21.7%) 等です。
■代謝
カンプトテシン誘導体の主要消失経路は肝臓を介した胆汁排泄。重度の肝機能障害患者を対象とした実施していないので、かなり注意すべき。
服薬指導の注意点【間質性肺疾患の早期発見・骨髄抑制のケア 】
第一三共の公式HPの患者指導用教材があります➡https://www.medicallibrary-dsc.info/useful/guidance/content19/
その中の「ENHERTU Handbook エンハーツによる治療を受ける患者さんとご家族へ」がキレイにまとまっています。
上の資料にほとんどまとまっていますが、私が服薬指導をするならということで、まとめてみます。
まとめ
■事前確認
・血球の値、肝機能数値チェック
・心臓疾患、間質性肺疾患の既往歴
・妊娠(希望)、授乳婦ではないか
■投与前・投与後
・インフュージョンリアクション、アレルギーの症状と違いと必要となる対応
・易感染性となるため、手洗いうがい
・間質性肺疾患の症状説明、貧血症状
・脱毛の時期(2~3週間)と発現時のケア、(ウィッグの検討)
※間質性肺疾患の症状は鬱陶しがられても聞く
【まとめ】エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序と特徴
エンハーツ®(トラスツズマブ デルクステカン)について、個人的な観点からまとめました。
ポイント
■エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の構造
・HER2に対するヒト化モノクローナル抗体(MAAL-9001)
+ (リンカーを介して結合)
・トポイソメラーゼ I 阻害作用を有するカンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)
■作用機序
①トラスツズマブ デルクステカンがHER2発現腫瘍細胞のHER2に特異的に結合
②トラスツズマブ デルクステカンが細胞内に取り込まれ、リソゾーム酵素によりリンカーが切断される
③MAAA-1181aが遊離される
④細胞核においてトポイソメラーゼⅠを阻害し、DNA損傷
➡アポトーシスを誘導し、腫瘍細胞増殖抑制
■調製・投与時の注意点
・溶解液は注射用水5mL
・希釈液は5%ブドウ糖液
・調製後に保存する場合は、遮光・2~8℃で24時間以内
・室温では、調製及び投与は合わせて4時間以内
・0.2μmインラインフィルターの使用が必須
■遮光カバーが必要な理由
・カンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)が光に弱い
・緊急時は、メーカー(0120-065-132)に状況を説明して回答を得るべきor事前に公式文書として、対応を確認するべき
■重大な副作用
間質性肺疾患(8.2%)、骨髄抑制(45.1%)、インフュージョンリアクション(3.3%)
■副作用
主な副作用は、悪心(76.1%)、疲労(54.3%)、脱毛症 (46.2%)、嘔吐(42.4%)、好中球減少(29.9%)、食欲減退(28.3%)、下痢(21.7%)、貧血(21.7%) 等
■代謝
カンプトテシン誘導体の主要消失経路は肝臓を介した胆汁排泄。重度の肝機能障害患者を対象とした実施していないので、注意。
■事前確認
・血球の値、肝機能数値チェック
・心臓疾患、間質性肺疾患の既往歴
・妊娠(希望)、授乳婦ではないか
■投与前・投与後
・インフュージョンリアクション、アレルギーの症状と違いと必要となる対応
・易感染性となるため、手洗いうがい
・間質性肺疾患の症状説明、貧血症状
・脱毛の時期(2~3週間)と発現時のケア、(ウィッグの検討)
※間質性肺疾患の症状は鬱陶しがられても聞く
エンハーツ錠(トラスツズマブ デルクステカン)についての説明は以上となります。
上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。
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