2019年6月18日に製造販売承認の取得されました。
FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3:FMS 様チロシンキナーゼ 3)に対して選択的な阻害作用を示す受容体型チロシンキナーゼ阻害剤であるヴァンフリタ錠(キザルチニブ)について病院薬剤師目線から説明します。
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医薬品情報(基本項目)
販売名 | ヴァンフリタ錠 |
名前の由来 | FLT3 の語感に由来 |
一般名 | キザルチニブ塩酸塩 (洋名:Quizartinib Hydrochloride) |
製造販売元 | 第一三共株式会社 |
薬効分類 | 抗悪性腫瘍剤/FLT3阻害剤 |
効能・効果 | 再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病 |
用法・用量 | 成人にはキザルチニブとして1日1回26.5mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回53mgを経口投与。( 適宜減量あり) |
薬価 | 薬価未収載 (2019年8月現在) |
FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病とは?
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は、成人が発症する白血病の中で最も発症頻度が高い疾患です。
未治療の場合は、好中球や血小板の減少に伴う感染症や出血性合併症のため、死に至る可能性が高いです。
AMLの予後は、疾患特異的因子(FLT3、nucleophosmin 1、CCAAT enhancer binding protein alpha 等の分子遺伝学的変化又は細胞遺伝学的変化)と、患者特異的因子(年齢、全身状態、白血球数、及び合併症)の両方の影響を受けます。
AMLは、骨髄、末梢血、又は他の組織における骨髄芽球のクローン性増殖を特徴とする不均一性の高い造血器腫瘍であり、骨髄芽球のクローン不均一性は、診断時と再発時で異なると考えられています。
FLT3遺伝子変異は、傍膜貫通領域の一部が重複して繰り返される FLT3 内部縦列重複(internal tandem duplication:ITD)変異と、チロシンキナーゼ領域(tyrosine kinase domain: TKD)の活性化ループ内で起こるアミノ酸残基の点突然変異・欠失変異の 2 種類が知られている。
FLT3-ITD変異は AMLにおいて最も高頻度に認められる遺伝子異常であり、AML における完全寛解持続期間及び無再発生存期間に関する最も重要な予後因子の一つです。
FLT3-ITD変異陽性のAMLは再発率が高く、寛解期間及び再発後の全生存期間(overall survival:OS)が短いことが知られている。また、化学療法後に抵抗性又は再発を認めた場合、極めて予後不良であると考えられている。
寛解導入療法に対して抵抗性、又は再発したFLT3-ITD変異陽性患者に対する標準的治療として確立されているものはない。
しかし、FLT3-ITD陽性患者に対する適応をヴァンフリタ錠が取得したことで、治療の道が開けました。
・FLT3-ITD変異陽性のAMLは再発率が高く、OSが短い
・抵抗性・再発したFLT3-ITD変異陽性患者に対する標準治療は無かったが、ヴァンフリタ錠の承認により改善する可能性が見えてきた
ヴァンフリタ錠(キザルチニブ塩酸塩)の作用機序【医療者向け】
キザルチニブは、受容体型チロシンキナーゼである FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3:FMS 様チロシンキナーゼ 3) に対する阻害作用を有する低分子化合物です。
キザルチニブは ITD 変異を有する FLT3 に結合し、FLT3 を介したシグナル伝達を阻害することにより、FLT3-ITD 変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
用法・用量
適応症は、「再発又は難治性の FLT3-ITD 変異陽性の急性骨髄性白血病」なっており、必ず病理や検査部で、FLT3-ITD 変異陽性を確認することが必要です。
減量基準が明確に決められていますので、各項目が該当していないか投与量の定期的なチェックが必要です。
本剤の減量段階
段階 | 用量 |
通常投与量 | 53mg |
1段階減量 | 26.5mg |
2段階減量 | 17.7mg |
QT間隔延長の副作用【26.3%の発現率】
重大な副作用の一つに「QT間隔延長」がありますが。発現率がかなり高くなんと26.3%となっています。詳しく見ていきましょう。 、
8. 重要な基本的注意
8.1 QT 間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び増量前には心電図検査を行うこと。投与開始後、増量後及び休薬後に投与を再開した後は、定期的に(最初の 2 週間は週に 1 回、その後は月に 1回を目安に)及び必要に応じて心電図検査を行うこと。また、本剤投与開始前及び投与中は定期的に電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、必要に応じて電解質補正(カリウム、マグネシウム等)を行うこと。
8.2 骨髄抑制及び出血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。出典元:ヴァンフリタ錠 添付文書
投与開始前に心電図検査を実施し、QTcF 値が 450msec を超えている場合には、本剤の投与を開始しないこと。
また、本剤の投与開始から 2 週間後までにおいて、QTcF 値が 450msec を超えた場合には、本剤の増量は行わないこととされています。
定期的に心電図の検査が必要です。
検査のタイミングを図式化したものです。インタビューフォームに記載があったため、活用下さい。
また、臨床試験のデータから分かるように特に飲み始めから4週間がQT間隔延長が起こっています。
QT 間隔延長の副作用が起こる理由【 IKsチャネル阻害作用 】
キザルチニブには、IKsチャネル阻害作用を有しているため、 QT 間隔延長を引き起こす可能性があります。
IKsチャネルは心筋細胞にあるチャネルで異常がみられるとQT延長を引き起こします。
また、電解質異常によっても、QT間隔延長が引き起こされる恐れがあります。そのため、電解質の定期的な確認・補正が必要とされています。
その他副作用( QT間隔延長以外)
添付文書にある副作用のうち発現頻度の高い順に並べ変えてみました。
血小板減少症(34.2%)、悪心(31.7%)、好中球減少症(25.9%)、貧血(25.9%)、嘔吐(18.3%)、白血球減少症(18.0%)、発熱性好中球減少症(15.8%)、下痢(11.5%)
以上より、骨髄抑制関連の副作用と嘔吐・下痢は特に注意するべき副作用であることが分かります。
飲み忘れた場合
本剤を飲み忘れた場合は、当日中にできるだけ早く服用し、本剤を嘔吐した場合は、当日に服用しないよう指導すること。
いずれの場合も、同日に 2 回以上服用せず、翌日は通常通りに服用するよう指導すること。
一応インタビューフォームに記載はありますが、漠然としているので、適正使用ガイドが出たら修正する予定です。
まとめ
キザルチニブは、受容体型チロシンキナーゼである FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3:FMS 様チロシンキナーゼ 3) に対する阻害薬です。
LT3-ITD変異は、AMLの中で最も高頻度に認められる遺伝子異常であり、抵抗性・再発したFLT3-ITD変異陽性患者に対する標準治療は少なかったため、ヴァンフリタ錠の承認により改善する可能性が出てきました。
重大な副作用の一つに26.3%の発現率の「QT間隔延長」があります。その他、骨髄抑制関連の副作用と嘔吐・下痢も発現率が高く、注意するべき副作用です。
ヴァンフリタ錠(キザルチニブ)についての説明は以上となります。
上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。
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