医薬品

イクセロンパッチ®(リバスチグミン)を貼る前に、保湿剤(ヘパリン類似物質)を1週間前から塗る理由

この処方どうしてヒルドイドソフト軟膏一週間前から塗るように指示が出ているの?
一週間前から塗っても早過ぎて、意味がないのでは

初めて見るときはどうしてもそう思うよね。
保湿剤は、見た目上すぐに効果が出るように思うけど、実際は継続することで徐々に皮膚の水分量が増加するのです。

私も新人の時に、この疑問に当たりました。

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保湿剤(ヘパリン類似物質)を1週間前から塗ることによる効果【皮膚症状の減少】

リバスチグミンテープ(経皮吸収型製剤)の使用一週間前から保湿剤を使用する群とリバスチグミンテープ開始から保湿剤を併用する群で皮膚症状の発現率を比較する研究がありました。

結果は、皮膚症状の発現率が減少しました

そのため、イクセロンパッチを貼付する場合は、一週間前からヘパリン類似物質を継続して塗るように、処方指示が出ていることが多いです。

実際の塗り方は、ヒルドイドソフト軟膏などで有名なマルホ株式会社に丁寧な説明があります。

出典元:株式会社マルホ  経皮吸収型製剤とスキンケア

新基剤のイクセロンパッチの登場

しかし、皮膚症状が多いことを改善したかったノバルティス社と小野薬品工業は、2019年に新基剤のイクセロンパッチの承認を取得しました。

イクセロンパッチ新基剤
イクセロンパッチの新旧製剤比較

現行品では、薬物層の下に粘着層がありましたが、この粘着層が皮膚を刺激することで皮膚症状の発現に大きく関与していました。
しかし、新規剤であるイクセロンパッチは、粘着層がなくなり、支持体と薬物層のみの構造となっています

実際に張って確かめましたが粘着層が無くても、十分に張り付き、剥がそうとしない限り剥がれる気配がありませんでした。

これにより、現行のイクセロンパッチで、紅斑等の皮膚症状が出て中止となってしまった患者さんでも、新基剤のイクセロンパッチが使用可能になるかもしれません

これまで、一週間前から保湿剤の塗布が必要となっていた場合も保湿剤の必要がなくなる可能性も出てきました。

まだ実際の臨床では新規剤による皮膚症状の発現率は出ていないため今後の論文いや発表に注目が集まっています。

上記内容はばーくん(BA-KUN )の個人的見解であり、利益相反等も一切ございません。薬剤の使用については、必ず添付文書やインタビューフォームを読んで使用してください。治療により受けた不利益の責任はおいかねます。

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